スペースマーケットの事業計画および成長可能性資料について

あなたはスペースマーケットについてご存知ですか? その名の通りスペースを 貸し借りする場所を提供する企業となります。

2021年12月28日、事業計画及び成長可能性に関する資料が開示されました。今後オフィスはどうなっていくのか、不動産市況がどうなっていくのか多角的に考えるためにも、中身について少し見てみます。

スペースマーケットの市場規模と現在の業績

同社の成長可能性説明資料より

スペースマーケットは、スペースを借りたいゲストと、スペースを貸したいホストの仲介を担うことで手数料を収入を得ます。いわゆるプラットフォーマーになろうとしてるわけです。

同社がスペースシェアの市場規模として想定している金額は2.7兆円。2021年第3四半期までの総取扱高は20億円程度ですので、まだまだ余裕があるように思います。

そんな市場の中、  Space Market は業界のプラットフォーマーとなるべく、広告・販促費を多くかけており、認知度向上を図っている。 ようやく営業利益が残るようになってきたという状態です。

ひとつツッコミたいのは、市場規模の捉え方。全国のスペースが1億スペース相当存在する、とうたっていますが、その数字の基準となっているのは日本のスペース総面積

説明資料より、住宅空間が57億平米、非住宅空間が11億平米あるとされ、合わせて68億平米が日本のスペースとして存在する、とのことです。

でもこの数字には、既に過疎化している地域のスペースや、そもそもシェアオフィスとして需要のない地域のスペースが含まれているはず

その地域まで需要を掘り起こすのなら話は別ですが、そもそも人口が減少していく日本において、需要が生まれにくい地方の空間を、市場に含めていいのかどうか?今まで使われていないから、日本の空き家率も10%を超えているのであって… 

また、「東京の空室率が4%程度なので」スペースシェアとして利用される割合を4%と仮定しています。でも、そもそも東京の空室率という前提で良いのでしょうか? 

市場が東京で限定されるのであれば、東京の空室率を使用しても良いのかもしれません。しかし前提が日本全国のスペース総面積ですから、空室率4%用いるのは少し仮定が飛躍している気がします

まあとはいえ、そう取扱高が20億円程度であれば、まだまだ市場拡大は目指せることに異論はありませんが。 

スペースシェアのKPIと現状

成長説明資料より

重要となる KPIは、 月間利用スペース数とその平均月額利用料を掛け合わせたGMV。

成長説明資料によると、月間利用スペース数の合計はコロナによって一時的に減少したものの、 うまくニーズを取り込み順調に増加しているとのこと。

 一方平均月額利用料に関しては、コロナが直撃した2020年2Qよりは回復しているものの、コロナ以前よりも低い金額で推移しています。

この辺をどう捉えたらよいか…まだまだコロナが回復してないと見るか、シェアオフィスの需要が頭打ちと見るか…

いずれにせよ今後の需要動向については、スペースマーケットの資料などを継続してみていく必要があるなあと思います。

つぶやき

スペースマーケット自体には、まだまだ競争優位性というものがあまり感じられません。だから広告をバンバン出していく必要があるのですが…なんとなく競合も入ってきやすい環境であるのかなと思います。

プラットホームになってしまえば、顧客を囲い込みできるので、将来に得られる利益はでかいです。

それを信じて投資するのもいいのかもしれませんが…現時点でスペースマーケットがそれになれるかどうかはかなり不明確です。

ということで投資はしない方針です。ぐっとくるものがないので。

とはいえシェアオフィスはこれまでの不動産業にあまりなかったビジネスではあるので、市場環境を観察するという意味で、今後も注目していきたいと思います。

あと資料がとても見やすいです!その辺は投資家よりの考えを持っているとは思います。

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