今回の記事では、私が個人的に「経済的な堀がある=競争優位性がある」企業だと思っている、日本エス・エイチ・エルの銘柄分析のまとめを行いました。参考になれば幸いです。
この記事のポイント!
- 長期投資に適しているか?企業について評価!
- 長期投資に欠かせない、経済的な堀があるかどうかがわかる!
- 現在の株価が割安か?PER・ROE・EPSから評価!
- ROE・EPSの実績から考える、5年後の株価予想!
今回のまとめでは、以下の書籍の計算方法を参考にしています。(バフェット氏も判断基準の一つとしている「経済的な堀」の概念もわかりやすく書いてます!)
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興味のある方は是非読んでみてくださいね!
日本エス・エイチ・エルってどんな会社?
ざっくり教えて!
簡単に説明すると、「企業が人材採用するときに使う、適性テストを作って販売する」会社!
ホームページより
就職試験の時に、GABとか、 玉手箱とか、適性試験とか。受験した経験がある方、結構いらっしゃるんじゃないでしょうか?
そんなテストを製作・販売している会社になります。
株価は?
ゆっくりと、でも確実に右肩上がりで上がってきている会社です。綺麗ですね。
企業セイセキは?
特徴としては、
- 2011年より、売上は右肩上がりで上昇している。
- その間、営業利益率が40%を超えている!
- 自己資本比率は80%を超えており、借金をほぼしていない経営。
- EPS の成長率は10年間毎年5~10%程度。
- 配当利回りは2.8%あり、10年間連続増配を記録中。
企業評価
9つの項目から評価を行っています。長期投資に適した企業かどうか?が判断基準(独断)です。九角形が大きいほど、バランスの取れた良い企業、ということになります。
項目 | 点数 | 評価理由 |
業績成長性 | 4 | 毎年5~10%ほどの成長を続けている。安定しているが、成長率は大きくない。 |
財務健全性 | 8 | 借金がほぼない。市場をほぼ独占しているので、普通に事業を行っていても現金が入ってくる。 |
CF健全性 | 8 | 営業CFはプラス。投資CFは主に定期預金の預入を行う。有利子負債を抱えることなく事業を行えているのも、他に競合他社がいないからか。 |
配当・自社株買い | 7 | 配当性向は50%を超えており、高い。ここ10年増配基調。自社株買いも定期的に行っている。 |
事業コスパ | 9 | 工場などを持つわけではないので、かかるのはほぼ人件費のみ。 |
事業効率性 | 7 | ROE は16~18%台。日本企業の平均である6%を大幅に上回っている。効率的に事業を行えている |
事業理解性 | 9 | 主事業はWebテスト・適性テストの開発・提供。事業はわかりやすい。 |
事業集中性 | 9 | 「企業の人材発掘を助ける」製品・コンサルティングが利益の95%を占めている。 |
インフレ耐久性 | 7 | 現在のところ、国内の市場を独占しているので、インフレにもある程度耐えられると思われる。 |
合計 | 68/90 | 長期投資の観点からかなり理想的。割安であれば購入を検討する。 |
かなり大きな図形となりました。これは有望な長期投資銘柄なのかもしれません。以下に補足を書きます。
業績成長性
業績は着実に伸びてはいるが、爆発的な成長はしないっぽいです。なぜなら、就職人気ランキング上位100社のうち、70%は既にこの会社の製品を採用しているから。
だから、ちょっとずつシェアを広げている状態。急成長することはあまり期待できないかもしれません。
配当・自社株買い
この会社の特徴は高い営業利益率。10年間40%を維持している実力は半端ではありません。そのため会社は利益剰余金が豊富にあります。
だから、余った利益のうち50%は配当金に回し、株主に還元できるのです。長期投資においてはそこがメリットの一つになります。
ただそれも裏を返せば、「自分の会社に再投資する必要がない」すなわち「成長の余地がそんなにない」ということを表しているかもしれません。
経済的な堀評価
この企業は「経済的な堀を持っているか?」ということを表しています。5角形が大きければ大きいほど、「ほぼ独占的な」企業であることを示します(独断)
項目 | 点数 | 評価理由 |
無形資産Intangible Assets | 9 | 人気就職先ランキング100位以内のうち、70%程度の企業に採用されている製品は、ブランド力があると言っていい。 |
乗換コストSwitching Cost | 9 | 企業が一度、 GABや玉手箱と言った製品を使い出すと、何年間も続けて使う可能性がある。(他の製品に乗り換えた時に失敗しては困るため) |
ネットワーク効果Network Effect | 8 | 多くの企業が使っているということは、それだけ成果が出ているということ。成果を出したい企業が、この製品を使いたくなるかもしれない。 |
コスト優位性Cost Advantages | 10 | 工場などを持つ必要がなく、オフィスで開発さえできればよい。 |
規模優位性Size Advantages | 8 | そもそも市場規模が小さく、ある程度の規模優位性を保ってると言える。 |
とても大きな五角形になりました。「経済的な堀を持っている」と判断します。
乗換コスト・ネットワーク効果
企業が一度日本エス・エイチ・エル社のWebテストを使い出すと、しばらく使い続ける傾向にあります。
なぜなら、企業の人事担当部署は「今までの採用で使ってきて、これまでうまくいってるから、ほかのやつに変える必要なくない?」と思うからです。
また有名企業が使っているなら、「この製品は素晴らしいのだろう」という空気も生まれやすくなります。
そういった理由で、「一度日本エスエイチエルのテストを採用した企業は、同社の製品を使い続ける」という評価をしています。
今のところ競合と言える会社もないため、高利益率な状況は続くのではないかと。
長期投資適性判断
長期投資に値するかどうかを、今までのEPS、ROEの実績、直近の PER で考えてみます。(独断)三角形が大きいほど、長期投資に適していると考えます。
項目 | 点数 | 評価理由 |
EPS:成長性 | 5 | 5~10%程度で安定して成長をしている。 |
ROE:効率性 | 6 | ROEは10%後半とそこそこ高い。 |
PER:割安性 | 5 | PER は15~20倍と割高とは言えないものの割安ではない。 |
PER は15倍代の時もあるので、そこまで割高ではないといえます。ただし EPS の伸びが5%を切る時もあるので…。
成長性の観点から見ると…「もうちょっと割安じゃないと買えないかな?」という考えです。
5年後の株価予想
最後に、過去5年の ROE と EPS から、「5年後の株価がどうなっているか」予想してみました。※独断と偏見に基づくただの予想です!
上の予想は、日本エス・エイチ・エルがこれまで残してきた実績に基づくものです。
つまり、ROE と EPSの伸び率が今の状態を維持できるなら、5年後にはこんな感じの株価になっているだろう。という予想です。
5年後の株価は、PER15倍程度と想定しても、30%ぐらい上昇してるくらいかな…?
成長を控えめに見積もっているため、年10%ぐらいの成長が見込めるなら、もっと株価は上昇する余地があると思います。
まとめ
以上から、私の独断と偏見による長期投資できるかどうかの判断は…
とします。事業内容は理解できるし、今後しばらくは人材採用の Web テストにおいて、市場を独占して行けると思います。
ですので
- 何らかの原因で株価が下落した場合
に投資したいなと考えています!今後もしばらく市場の独占は続くのではないかと思っています。そもそも市場が小さいので。でもEPS成長率10%に対してPER が16倍だと、割安とまではいかないので…
あなたはどう考えますか?
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