ロードスターキャピタルと霞ヶ関キャピタルとの違い②

両キャピタルの比較その2回目です。前回はビジネスモデルに着目して比較を行いました。

同じ不動産業でも、霞ヶ関キャピタルは開発メイン、ロードスターキャピタルは既存ビルの売買メイン。という違いがありました。

もう少し深く違いについて考えていきます。

貸借対照表の比較

貸借対照表を比較してみましょう。ここでは金額ではなく比率の比較とします。その際にちょっとクイズ。どちらがどちらの貸借対照表を表しているでしょうか? 

上の比較でのポイントは、

  • 運用サイド( BS の左側)において、流動資産の割合
  • 調達サイド( BS の右側)において、固定負債の割合

上記の2点が大きく異なる点ですね。答えは、左側が霞ヶ関キャピタル、右側がロードスターキャピタルの貸借対照表。

比較しながら見ていきましょう。

運用サイド

霞ヶ関キャピタルは、ロードスターキャピタルと比較して、有形固定資産の割合が多いですね。これは開発用の土地や建物等といった、「すぐには売らない不動産など」が含まれていることが要因です。

逆にロードスターキャピタルは有形固定資産がほとんどありません。理由は、ロードスターキャピタルが保有する不動産は全て「販売用不動産=流動資産」となっているため。

保有する不動産が売れるまでは賃貸収益が入ってきますが、あくまで「販売する用の不動産」であるため、流動資産に計上しているようです。

調達サイド

大きく異なりそうなのは、流動負債と固定負債の比率。ロードスターキャピタルは、ビルを売買するにあたって、借入金を銀行から融資してもらいます。

その際、10年以上の長期で借りることが多く、長期借入金は固定負債になるので、結果として固定負債の割合が多くなります。

長期で借り入れられることのメリットは、不動産不況の波が来ても、急に資金繰りが悪化するということがほぼないこと。

不動産は10年単位ぐらいで不況の波がやってきますので、それに備えた対策だと言えます。

霞ヶ関キャピタルは、短期借入金の割合が比較的多いため、流動負債の割合が高くなっています。

BS と PL の比較から見えてくるもの

続いて貸借対照表:BSと、損益計算書:PLを並べたもので比較してみます。

左が霞ヶ関キャピタル、右側ロードスターキャピタルBS&PLになります。 二つを比較してみると、ここにおいてもビジネスモデルに大きな差があることがわかります。

霞ヶ関キャピタルは現状、 BS と PL の大きさに差はほとんどありません。これは、 総資産を回転させて、総資産を入れかえながら売上を稼いでいるビジネスモデルです。

もっとも、今後は物流施設などへの投資にシフトしていくので、回転率は次第に下がっていくのかもしれませんが。

右のロードスターキャピタルは、BS と PL の差がかなり大きいですね。 資産を積み上げて、多少の入れ替えを行いながらも、売上を拡大させていくというスタイルです。

バフェットコードの比較機能を使うとより鮮明に違いが出てきます。

ロードスターキャピタルの総資産回転率が0.3回/年に対し、霞ヶ関キャピタルのそれは1.0回/年。また棚卸資産(販売用不動産など)の回転率はロードスター1200日に対し、霞ヶ関キャピタルは190日です。

ロードスターキャピタルの販売用不動産の保有期間の平均が約3年弱。それに比べ、霞ヶ関キャピタルは約半年。霞ヶ関キャピタルがいかに手持ちの資産を回転してきたかがわかります。

また財務的には、ロードスターキャピタルは霞ヶ関キャピタルの1.7倍程度リスクをとっている、とも言えそうです。

また、ROEに着目すると、

ROE=当期利益÷自己資本= (当期利益÷売上高)×(売上高÷総資産)×(総資産÷自己資本) 

=当期利益率×総資産回転率×財務レバレッジ

ですから、霞ヶ関キャピタルはロードスターキャピタルに比べ総資産回転率を高めることでROEを向上させているのに対し、ロードスターキャピタルは収益性、財務レバレッジを高めることでROEを高めていると言えます。

ちょっとしたまとめ

意外に違うところがありましたね。不動産業といえども、様々な事業形態があるということを再度認識することができました。

現状では、市場の評価は圧倒的に霞ヶ関キャピタルの方が高いです。2021年10月に発表した決算説明会での「これからの成長イメージ」の発表は素晴らしく、大きく期待が持てるものでした。

霞ヶ関キャピタル2021年8月期決算説明資料より

個人的に気になったのは、「たとえホテルの稼働率が15%でも利益をあげられるビジネスモデルを構築した」と言っていた、ホテル事業。

コロナ禍でのホテルの稼働率は平均19%(当社資料より)。この中でも十分収益をあげれるビジネスだそうです。

コロナが落ち着いた後の世界で、どれほどの利益を上げることができるか、期待が膨らみます。

やっぱり世の投資家は、「素晴らしいビジョンを掲げる企業」に対して熱視線というか、期待をしたくなるものですよね…霞ヶ関キャピタルの株を持ってない私ですら、やっぱり期待しちゃいますもん。。現状はPERが高いと思われるので投資は避けますが。 

今後霞ヶ関キャピタルが市場の期待に応え続けられるか、ロードスターキャピタルは市場に見放されたまま推移するのか(私にとってはこっちの方が重要)、ウォッチしていきたいなと思います。

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