投資家として少しでも成長したい。だから本を読みます。でも本を買うお金も限りがあるので、「 Amazon Kindle Unlimited 」をよく利用しています。
今回紹介するのは、「漫画でわかるバフェットの投資術」。
漫画でわかるとありますが、本書の半分ぐらいは文章、半分は漫画というような構成になっています。
著者は日本大学商学部教授の濱本明氏。「会計知識は超儲かる!」ということを学生に伝えたい思いから本書を執筆したそうです。
自分の備忘録のためにも、印象に残った内容について以下にまとめたいと思います。
バフェットは複利効果に出会ったのは7歳。
バフェットが7歳の頃、「1000ドルを稼ぐ1000の方法」という書籍に出会い、複利効果を知ることに。
6歳の頃からチューインガムやコカコーラの訪問販売などを行っていたバフェット。利益を再投資に回すことでさらなる利益を生む、「複利効果」は、彼の成功の原点となったそうです。
Alopur主観
普通7歳の時、410ページもの書籍を読みますかね?! 私も本は好きでしたが、7歳の頃なんてまだ絵本読むくらいでしたよ…
ちっちゃい頃から非凡だったことがわかります…
さて、投資において複利の効果は必ず知っておきたいことです。100万円の元本が年間5%の利回りで増えていけば、50年後いくらになるか分かりますか?
答えは約1147万円です。こんなふうになんとなく数字は覚えておいた方がいいかも。
バリュー投資とグロース投資:グレアムとフィッシャーとの出会い
バフェットは、バークシャーハサウェイ買収後、グレアムの「バリュー投資」の理論に、フィッシャーの「グロース投資」の理論を取り入れることで資産を拡大しました。
以下に、バリュー投資とグロース投資の基準について、内容をまとめます。
バリュー投資
項目 | 確認事項 |
適切な事業規模か | 小型株は避ける |
財務状況は健全か | 流動資産が流動負債の2倍以上長期負債が純流動資産以下 |
収益は安定しているか | 最低10年間は赤字がない |
配当はあるか | 20年連続で配当を出している |
収益の伸びはどうか | 過去10年間のうち、直近3年間の EPS が最初の3年間より33%以上上昇している |
株価収益率は妥当か | PER 15倍以下 |
株価純資産倍率は妥当か | PBR が1.5倍以下 |
こうやってまとめてみると、結構単純です。でも、これに当てはまる企業はほとんどない、というのが現状です。
グレアムが全盛期だったのは1929年世界大恐慌後のこと。その頃は定量分析を行っている投資家はほとんどおらず、割安な株がごろごろしていたのです。
成功を収めたグレアムが方法論をまとめたのが「賢明なる投資家」という本。今では多くの人がその手法を知り、割安な株は前ほどカンタンに見つからなくなりました。
ただしグレアムの考えは「現代に全く通用しない」なんてことは決してなく、投資の基礎を学ぶ本として「賢明なる投資家」はとてもおすすめです。
あ、これもアンリミテッドだ。
グロース投資
売上拡大を続けるチカラがあるか | ①現在の製品・サービスで収益増は望めるか ②新しい製品・サービスで収益増は望めるか ③研究開発はなされているか ④独自のノウハウはあるか ⑤優れた営業部門はあるか⑥長期的展望はあるか |
利益を生み出すチカラがあるか | ⑦売上・営業利益率は十分か ⑧営業利益率を維持・改善しているか ⑨適切なコスト・財務分析がなされているか |
経営者の質はどうか | ⑩労使関係は良好か ⑪管理職の能力は引き出されているか ⑫優秀な管理職は豊富か ⑬経営者は悪いニュースも報告しているか ⑭経営者は投資家に対して誠実か ⑮増資のリスクはないか |
フィッシャーの投資理論は定性的な分析項目が多く、それゆえ投資家一人一人の分析が違う結果になりがちです。
投資を行っていくうえで、自分の知識・経験を増やしていき、具体的な「数値」に落とし込んでいければイイのですが…それがなかなか難しい。
Margin of Safety:安全域という考え方
投資を行う上で特に重要だと思うのは、「安全域」という考え方。私も投資においてここを重要視していますが、もう一度おさらいします。
例えば企業価値が500億円ある企業が時価総額250億円だとしたら、残りの250億円は「まだ市場に評価されていない」と考えることができます。これが「安全域」。
上の例だと企業価値:500億円に対して、安全域は250億円と、50%もあります。こんな銘柄を見つけられれば、ほとんど、投資で負けることはありません。
時価総額はカンタンに分かります。問題は企業価値をどうやって判断するか。それが投資家によって算出方法が異なる…ってのが投資の奥が深いところです。
本書では、(バフェットの)企業価値の算出方法を以下のように紹介しています。
企業価値とは、「オーナーの利益を長期国債利回りで割ったもの」。不動産価格算定の収益還元法と同じような考え方ですね。
長期国債利回りは米国ですら最近は2%を超える程度。2%を使ってしまうと企業価値がバカみたいに高くなってしまうので、バフェットもそれプラス1から2%という値を使っているそうです。
年次報告書をよむ
決算書・有価証券報告書を読み込むのは当然として、企業の年次報告書にも目を通すことをおすすめしています。
本書より、投資家が拾い上げるべき項目は、以下の5項目。
- 社長のメッセージ
- 会社概要
- 主要事業
- 資産・負債の推移
- 経営者の顔ぶれ
正直、2.3.4に関しては決算書や有価証券報告書でしっかり読み込んでいれば見る必要はないと思います。
ただ、経営者の顔ぶれや社長メッセージは深く確認しておきたいところですね!主要メンバーはググってみて、過去の経歴を確認したり。
社長は本を出していたりすることもあるので、あれば著書についても目を通しておきたいところです。
バフェットのいま:2021年3月
本書では、バフェットが日本5大商社の株式を保有したことにも触れていました。
筆者は、バフェットが日本に投資するようになった理由のひとつに、次のような考えをしめしています。
「世界で最も長寿企業が多いため長期投資に向いているから」
日本は確かに長寿企業が多いのです。本書にはこうまとめてありました。
創業100年を超える企業
順位 | 国 | 企業数 |
1 | 日本 | 33,076社 |
2 | アメリカ | 19,497社 |
3 | スウェーデン | 13,997社 |
創業200年を超える企業
順位 | 国 | 企業数 |
1 | 日本 | 1,340社 |
2 | アメリカ | 239社 |
3 | ドイツ | 201社 |
どちらも日本がダントツでトップ。「長期投資に向いている」という見方は、ある意味ただしいのかもしれません。
また2021年8月現在、日本のPER16.9倍。先進国平均の32倍と比較すると、割安な状況にあると言えそうです。
バフェットのキホンはやはり「バリュー投資」。「割安に放置されている日本株に目を向けた」という可能性も大いにあります。
まとめ
バフェットの経歴や行ってきたことをざっくり知るには良い本だと思います!これから投資を始める人には特におススメします!
グレアムやフィッシャーの投資方法について、表にしてまとめているのも素晴らしい。
グレアムの「賢明なる投資家」やフィッシャーの「株式投資で普通でない利益を得る」は、どちらも素晴らしい本ですが、長いので、まとめるのに骨が折れます。
本書で概要をざっくり把握してから、上記二冊に進むと、より理解が進むかも!です。
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