エニグモ決算レビュー

以前保有していた経験のある、かつ、収益性が素晴らしい会社として注目している、株式会社エニグモの2022年1月期第3四半期決算が開示されてましたのでレビューします。

気になる内容は…

売上は12%成長ですが、営業利益は5%成長と、小幅な成長に止まってしまいました。 営業利益率も37%と依然高い数値ですが、 今まで40%程度を維持してきた過去に比べて、成長に陰りが見えてきてるともとれます。

また今期の予想は…

あらら。下方修正が出てしまいました。今期エニグモは期初でレンジ予想を開始していました。 それが以下。

東証売り上げは15%~25%成長、営業利益は1%から16%の成長を見込んでいました。営業利益の成長が売上の成長と比例していないのは、成長分野に投資するためとのことでした。

ですので業績予想の通期営業利益の成長がマイナスとなっているのは、「第3クォーターまでに成長分野に投資した結果、費用が増大したのかな?」と思いました。

しかし、決算説明資料の通期業績予想によると、「一部投資は実施、もしくは実施予定だが、本格的な投資は来季実施予定」とのこと。

決算説明資料より。

ということは、まだ本格的な投資をしていないにも関わらず、営業利益率が低下している≒本業の成長に陰りが見えてきているということを示唆しています…。

決算には、「緊急事態宣言の長期化による消費活動の低迷」「気温上昇による秋冬アイテム需要の書道が鈍かったこと」などの影響により国内総取扱高は前年同期並みに留まった、とありますが… 

2022年1月期期決算より

EC サイトを運営するエニグモにとって、緊急事態宣言の長期化はむしろプラスだと思っていましたが(現に、前期は巣ごもり消費の影響により最高益を更新した)… 

国民の消費意欲が減退しているのか、エニグモの本業自体の成長鈍化してきているのか、 投資家は見極めなければならないところに来ていると思います。

費用増加

実際のPL がどういう状態だったのか見てみましょう。 

売上総利益率は80.7%と、前期の81.4%並み。ここに関しては、 売上多分だけ利益が出ていますのであまり変動はありません。

注目したいのは販売費及び一般管理費が約3.5億円増加していることです。元費の内訳が決算説明資料に記載されていました。 

販管費のうち広告費が26.8%とかなり増加していることがわかります。前期よりも27%増しで広告を打ち出したのにも関わらず、売上の成長は12%に止まったということです…

日本においてはコロナも収まりを見せており、人々の活動が徐々に活発化していくことが考えられます。それに伴って、今後 EC サイトの売上が減少していくと考えると…エニグモの置かれる状況は決して優しいものではありません。 

人件費の増加については10%の増加と、(エニグモの重要な KPI である)総取扱高と売上とほぼ同じ比率で伸びているので、単に従業員数が増えただけか、業務委託費が増えただけか、なのでそんなに気にしなくていいのかもしれませんが。。

エニグモの決算説明資料

エニグモの決算説明資料について少し思ったことを書きます。エニグモの決算説明資料は、おしゃれな EC サイトを扱っているだけあって、とても見やすいものになっています。 

決算説明資料より

しかし、

  1. 他社に比べて圧倒的に開示している情報の内容が少ないこと
  2. グラフに目盛りがない資料があること

上記の2点が個人的に投資家として、「なんだかなぁ」「ホールドしていて不安になるなぁ」と思うところであります。

1に関しては、数が多ければ良いというわけではありませんが、分析するにあたって数字が多いに越した事はありません。

今回の決算説明資料も13ページしかなく、表紙や目次などを除く、「数字・もしくは今後の戦略が書かれているスライドは7枚しかありません…

2に関しては成長領域のスライドを以下に示しますのでご覧ください。 

このグラフからは、「総取扱量が増えている」ことしか分からず 、数字がないので「具体的にどの程度増えているのか」が見えてきません。

これでは、「自分のいいところだけを見せている」というイメージが拭えず、成長しているとしても、なんとなくマイナスな印象を受けてしまいます。

上記2点のような IR の不足は、投資家の投資意欲を削ぎかねませんので、早急に解決してもらいたい点であると思います(私の声が届くとは思いませんが…)。

エニグモのこれまでとこれから

それでもエニグモは日本屈指の高収益企業であることは間違いありません。営業利益率はほぼ40%を越えてきましたし、 ROE だって15%以下をほぼほぼ下回ったことはありません。

投資家の期待値を表す PERも20倍を超えていますし、投資家の 注目を集めている企業です。

だからこそ、一度下方修正となると、市場は過度に反応します。2021年12月14日21時現在、 PTS ではマイナス19%と、 売りが優勢となっています。

今後エニグモが成長しているけるかどうか、投資家に対して情報を真摯に提供していけるかどうか、これからも注目していきたいと思います。

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