ブライダル業界の市場規模について考えてみる。

企業が何気なくその説明資料に載せている、 市場規模の図。それ本当に正しいの?という疑問について考えてみたいと思います。

例えば今現在調査を進めているブライダル業界。各社とも市場規模を以下のように表しています。 

ブラス決算説明資料より

 IKK 決算説明資料より

エスクリ決算説明資料より

テイクアンドギブニーズ決算説明資料より

これらの図を見ると、国内の市場規模は1.4兆円あって、挙式披露宴を挙げるカップルの数は約38万組いることがわかります。

そして、どの会社も市場におけるシェアはそれほど大きくなく、今後の拡大余地が大きいということをアピールしています。

ただ…ちょっと立ち止まって考えてみます。その市場規模、 それぞれの会社の市場規模をきちんと表したものなんでしょうか?

1.4兆円という数字を考えてみます。この数字は、

日本全国の挙式実施組数 X 挙式披露宴平均単価

で算出されています。

日本全国会場があるテイクアンドギヴニーズはともかく、出店が東海地方中心のブラス、西日本が多い IKK、 関東中心のエスクリなどは、全国の挙式組数を市場規模に含めていいのかどうか…

だって、結婚式場って自分の住んでるところの近くにある会場から選びますよね?自分の会社が出店もしてないのに、出店してもない地域を市場規模に含めるのっておかしくないですか?(将来的に出すのかもしれないけど)

私が思うに、少なくとも出店している地域の人口を基準に、そこから挙式する組数を推定し、それぞれの会社の市場規模として設定した方が良いと思います。 

ブラス:現在の式場がある地域とその地域の婚姻数

具体的に、私が投資しているブラスの市場規模について考えてみます。2021年12月現在、ブラスの式場(全23会場)があるのは以下の図の通り。

ブラス決算説明資料より。

上記の頭よりプラスの結婚式場がある都道府県は、千葉、静岡、愛知、愛知、岐阜、三重、京都、大阪。 

そしてこの地域にどれくらいの婚姻があるか。それは総務省統計局からデータを得ることができます。調べたら最新版は令和元年版でした。https://www.stat.go.jp/data/nihon/02.html

で、データをまとめたのが以下の表。

2-16 都道府県別出生・死亡数と婚姻・離婚件数 より作成

ブラス式場がある地域の婚姻数は158,000組。そのうち、「ナシ婚」と呼ばれる結婚式をあげない組の割合を35%(ネット調査より)とすると、結婚式を上げるカップルの数は、

158000x(1-0.35)=102,700

となります。よって現在のブラスの市場規模は、

102700組 x 362万円 ≓ 約3718億円

であると考えることができます。1.4兆円の1/4程度ですね。

 ちなみに、みんなのウエディングには、各都道府県にどの位結婚式会場があるか(登録されているか)掲載されていました。 その表が以下になります。 

ネットのデータより作成。 

また、推定結婚式実施件数を、都道府県別結婚式会場数で割ると、一会場あたりの 結婚式実施数がわかります。

結果を平均すると、結婚式ひと会場当たりでは年間63件の結婚式が実施されていると分かります。

今期のブラス施行目標数は2,960件。また、ブラスの会場数は23。となると一会場あたり2960/23=129件の結婚式の実施となります。ブラスは平均の倍、結婚式を実施することがわかります。

2022年7月期第1四半期の施工数は 626件。一会場あたりに直すと27件(年間に直すと27*4=108件。)8月9月は緊急事態宣言が発令されていたことを考慮するとまずまずの実施件数なのではないでしょうか。

また出店している地域の中で特に千葉が、結婚式実施件数に対して会場が少ないことがわかります。

ブラスは2020年に千葉に結婚式場をオープンしました。馬券はまだまだプレイヤーが少ない地域だと考えられるので、この地域への出店を積極的に行って行って欲しいところです。

まとめ

今回は市場規模について粗く考えてみました。あくまで公表されているデータからざっくり考えただけなので、計算結果は完全に正確なものではないと思います。

でも投資家が欲しい情報はより細かなデータ。各社 IR 担当の方々には、自分の会社が置かれている環境がどのようなものなのか、実際の市場規模はどの程度あるのか、より正確に開示していただきたいと思います。

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