結婚式:ブラス有価証券報告書レビュー

フォトウエディングがこれから伸びる!と思ってデコルテホールディングスに投資しましたが、ウエディング事業自体はどうなんでしょう?

ツカダホールディングス・エスクリ・ アイケイケイ・テイクアンドギブニーズ… 結婚式場を運営している会社を調べてみましたが、どれも赤字でした…

しかし、【2424】ブラスという会社だけはこのコロナ禍においても黒字を叩き出していました。気になったので調べてみます。

株式会社ブラスの概況

いつものとおり、バフェットコードから。

ざっくりまとめると以下の通りです。

  • 時価総額はまだ37億円と、小粒な銘柄。
  • 自己資本比率は21.3%と借入が多め。
  • 設立:2004年・ 上場上場は2016年とまだまだ若い企業。
  • コロナ前、2019年7月期まで順調に事業を拡大していたが、コロナにより赤字転落。
  • 2021年4月期は黒字復帰。
  • 粗利率はほぼ横ばいだが、若干上昇している。

結婚式場を営む会社が軒並み赤字の中、よく黒字転換できたと思います。。。理由は何でしょう?

四半期売上の推移を見てみると、 この中では大きく売上を落としているものの、直近の四半期決算では過去最高売上だった2019年第4Qを上回り、最高益を達成しています。

さらに特筆すべきは営業利益率の改善。2019年4Q(単独)は9.6%だったのに対し、2021年4Q(単独)は17.2%にまで上昇しています! 

ここまで改善できた理由は何でしょうか?どんどん気になってきました。有価証券報告書には次のように記載されています。

2021年7月期有価証券報告書より

まとめると、要因となったのは、

  • 売上原価の効率化
  • 配膳人の最適化
  • 設備投資計画の見直し

と記載されています。

まず注目したいのは粗利率が約3%上昇していることです。これは商品仕入高を低く抑えられていることが要因と考えられ、海外買い付けのドレスや自社ブランドのドレスなどが寄与しているのではないかと思います(…が、推論にすぎません)。

また販管費に関しても、広告宣伝費、備品消耗品などの金額が低下しており、これが営業利益を押し上げました。 

有価証券報告書より作成

加えて、決算説明資料においてブラスは「最高の結婚式を創ること」→「口コミ紹介などによる潜在顧客の拡大」をビジネスモデルの一つとして定義しています。

そのため口コミが広がれば、無駄な広告費をかけることなく、売上を拡大することができます。そして、広告費で浮いたお金の一部を結婚式のクオリティ向上のための費用として用いることができる。

そうすることで、「更なる顧客満足度の高い結婚式の創出」という好循環が生まれます。

決算説明資料より

実際オリコン顧客満足度ランキングでは四年連続総合1位を獲得し、「ハウスウェディングと言えばブラス」という地位を確固たるものにしようとしています。 

また、販管費において評価できるのは、

  • 従業員の給料をカットしなかった点
  • コロナ禍において、役員報酬を引き下げた点

上記の2点も付け加えておきたいところです。

小売業やサービス業では従業員のモチベーションが業績を伸ばす大きなポイントであると考えています。

ブラスは2020年度に454人、 2021年度末には450人の従業員を有しています。従業員の数はほぼ変わらないにもかかわらず、給料の費用は1億3000万円程増えています。

コロナという厳しい状況の中でも、従業員の雇用を守ることができたのは評価できるポイント。今後の成長の基盤を守ったという意味でもよい判断ではないかと感じます。

今後も広告宣伝費をかけず、なおかつ今までよりも原価率を抑えて事業を展開していけるのなら、2019年以前よりも高い成長性を持って事業を展開していけるのではないか。そんな風に思えてきました。

ちなみにウェディング業界5社を比べた結果は以下の通り。

バフェットコードより

粗利率はブラスがトップ。販管費/売上比率も、61.9%と他社よりも低く抑えられています。 コロナが納まり、徐々に客足が回復してくれば、利益はこれまで以上に伸びる可能性を秘めています。

現在プラスは東海地方を中心に23店舗を運営。同業他社のテイクアンドギヴニーズは63店舗 (93会場)、エスクリは33店舗、ツカダグローバルホールディングは22店舗(63会場)。

今期の経営方針では、1~2店舗の新規出店を目指しており、競合他社よりもいち早くの回復を見込んでいます。

決算説明資料より

結婚式施行件数の推移を見ても、 コロナ前、2019年の数値に近づいているのがわかります。期中に度重なる緊急事態宣言が発令されたことを考えると、これは驚異的な数字だと思います。

決算説明資料より

12月中に2022年7月期第1四半期の決算発表があるので、まずはそれを楽しみに 、結果を待ちたいと思います。

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